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ターザン山本と「愛」について語り合った 〜僕は自由人だから結婚せず、ターザンは自由人だから結婚した〜

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ターザン山本
1946年、山口県生まれ。元週刊プロレス編集長。21歳の時に学生結婚をし、一人の女子をもうけ、34歳のときに離婚。その5年後、39歳で再婚、もう一人の女子が生まれる。12年後、51歳のとき再び離婚。現在、元家族とは一切交流がなく、独居生活中。

合意のうえの結婚に責任も何もない

柴田 現代の男女は自由の謳歌を選択し、責任を求められる結婚は敬遠する傾向があります。僕も自由人タイプで、40歳の現在も独身。ターザンさんはなぜ自由人の“くせ”に2度も結婚しようと思ったんですか?

ターザン そのときしたいと思ったからですよ。それ以上の理由はないじゃない。

柴田 最初は大学時代の学生結婚ですよね?

ターザン そうだよ。青春時代の栄光ですよ。

柴田 青春の栄光を経たターザンさんが、2度まで結婚に失敗した理由とは?

ターザン 俺がこういう破綻者だから、みんなついてこれなくなるんよ。

柴田 2度の結婚でもうけた2人の子供との関係は?

ターザン 2人とも離婚してから一度も会ってないよ。何十年も。

柴田 破綻者のくせに結婚して家庭を持ったりして、相手に申し訳ないという気持ちはないんですか?

ターザン ないよ。だって、そのときお互いに合意して結婚したんだから。俺はあの2度の結婚が失敗だったと思ってないからね。

柴田 男として責任は取れたと思ってます?

ターザン お互いが結婚したくてしたんだから、どちらにも責任なんてないじゃない。男も女もないわけよ。

柴田 ああ、べつに拉致したわけでもなし、強要したわけでもなし。

ターザン 当たり前じゃない。相手もしたいっていうからしたんですよ。フェアな関係でしょ。その時点で共犯関係なんだから。

柴田 結婚に対して後悔の念はない?

ターザン あのね、後悔するということが相手に対して失礼なんですよ。相手のことを思いやるのであれば、後悔なんてしちゃいけないんですよ。

柴田 結婚は一度はしてみるべきですかねぇ。

ターザン まぁ、もう必ずしも結婚しなくてもいい時代ではあるけどね。でも一回してみてもいいんじゃない。

柴田 やってみればわかる?

ターザン うん。だって家に帰ったら好きな人がそこにいるんだから、こんな素敵なことはないじゃない。

柴田 ターザンさんに言われても説得力に欠けますが……。

ターザン 俺は存在が説得力の塊じゃないか。

女は二度、夢を見る

柴田 それで現在なぜ、離婚率が高まっているんでしょうか?

ターザン もう終身雇用制もなくなったしさ、社会システムとしてずっと結婚生活を続ける理由がなくなってるわけよ。

柴田 踏みとどまる理由がなくなる?

ターザン 男の俺らには分かりませんよ。離婚を切り出すのは、いつも決まって女性からなんだから。

柴田 ああ、そうかもしれないですね。なぜでしょう?

ターザン あのね、女は「わたしにはもしかしたらもう一つ、別の人生があったかもしれない」と、常にそう考えてるわけよ。それが離婚の引き金になるわけ。男にそんな発想は皆無ですよ。

柴田 では男は何を考えながら結婚生活を送ってるんでしょう?

ターザン 男は何も考えちゃいませんよ。離婚を切り出されて、そこで初めて慌てるわけよ。

柴田 ターザンさんも愛想を尽かされ、2度まで離婚を切り出されて、慌てふためいた?

ターザン 俺は逆よ。「これでまた人生をやり直せる! 人生ダブルヘッダー、トリプルヘッダーだ!」と考えたわけよ。

柴田 ポジティブ・シンキングだなぁ。

ターザン 普通はそこで絶望が待ってるわけ。でも俺は不死鳥だから。

柴田 どういう流れで離婚したんでしたっけ?

ターザン 2回とも相手が男を作って出ていったんよ。

柴田 あちゃー。

ターザン それは俺のセリフですよ。でもそのことが俺の前にあった風景を変えてくれたわけ。俺はある意味、そこで救われたわけだよね。

柴田 前の奥さんたちに対しては怨みどころか、感謝したいくらいだと。

ターザン うん、感謝の気持ちしかないよ。俺の中では過去はすべて美しい記憶になってるから。

柴田 過ぎれば何事もいい想い出ですか。

ターザン そう。なんでか相手は恨みだらけで、俺のことをボロクソに言い続けてるみたいだけど。

柴田 あちゃー。

己の遺伝子を後世に残す

柴田 可能ならば、過去に戻って修正したいと考えることはない?

ターザン 子どもたちのことに関しては、「ああしたらもっとよかったかなぁ」と考えることはあるね。でもそれも実際そうしたからって、うまくいくかは分からないじゃない。また別の問題が起きたかもしれないし。だから、人生でたらればの話をしてもしょうがないわけよ。

柴田 結婚をすることで、この世に遺伝子を残したいという欲求ってあります?

ターザン ないない。だってお前、あれって一度に数億個の精子が放出されるんだよ。こんなに確率の悪い話はないわけ。ターザン山本の息子がターザンになれるわけじゃない。すべては一代かぎりで終わりですよ。

柴田 後世に遺伝子を残したいという考え自体が、終わりのない執着を生むものですしね。

ターザン 世間の“二世”ってやつを見ればわかるじゃない。自分の代は、死んだらそれでサヨナラよ。

柴田 女性のほうにも直感的・嗅覚的な部分で、優れた遺伝子を残そうとする習性はありますよね?

ターザン まぁ、それはあるだろうな。女性として、また生物としてね。だから俺は女性から何度も結婚を懇願されるわけよ。わかる?

柴田 はぁ。

ターザン で、どうだ? お前は結婚する気になったのか?

柴田 まぁ、また考えてみます。

ターザン お前は日本人の女性では無理よ。

柴田 ああ、グローバルな僕のスケール感についてこれない。

ターザン そんなことは言ってませんよ。お前は金はないしさぁ、年はいってるしさぁ、日本人には相手にされませんよ。

柴田 ジャパンでは完全に規格外の余剰品だと。

ターザン おまけに秋田の亡霊みたいに暗い顔だしさぁ。

柴田 誰が秋田の亡霊顔だ。

ターザン お前、格闘技で海外選手のブッキングの仕事をしてるだろ?

柴田 ああ、はい。

ターザン そういうコネクションを使ってさぁ、いい外国人女性を見つけたほうがいいよ。

柴田 いっても日本人女性がいいかなぁというのもあるんですけどね。

ターザン 無理!

柴田 まぁ、日本人でもお互いにタイミングが合えばいけるでしょう。

ターザン 絶対、無理!

柴田 なんですか、その揺るぎない自信は(笑)。じゃあ、人工知能付きの女性型ロボットでも探してきますよ。

ターザン 何? 今はそんなものがあるのか?

柴田 未婚時代の男のパートナーは、AI付き女性型アンドロイドになるんですよ。

ターザン おい、それを俺にも紹介しろ!

柴田 ターザンさんはもういいでしょ。

ターザン 時は来た! 今こそトリプル・ヘッダーですよぉ! 俺は不死鳥だぁぁぁー!

柴田 あちゃー。

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